「理科の楽しさを伝えたい」と、理系教育に尽力してきた昭和女子大学付属昭和中高の真下峯子校長。スーパーサイエンスコースを設け、大学やブリティッシュスクールとの連携にも力を入れるなど、次々と策を講じてきた。「女の子がやってみたらできちゃった、というモデルを証明したい」と話す真下校長の思いとは。

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■メダカの記憶を研究

――昭和女子大学付属昭和中高は、サイエンス教育に力を入れています。

 2015年から学校改革を行い16年にグローバル留学コースを、18年にスーパーサイエンスコース(SS)を設けました。SSコースは当初中3からが対象だったのですが、私の校長着任後の21年から中1に引き下げました。

 前校長の判断ですが、小学生のころからサイエンスに興味がある生徒に来てもらおうという、狙いがあったようです。やはり1年次からやることでスキルも厚くなるし、経験を積むことで考察も深くなります。

――スーパーサイエンスコースの特徴はどのような点ですか。

 1年次から実験や研究を重視し、サイエンスの学びをトレーニングします。その蓄えた力をもって、中3の後半からテーマを決めて研究に入ります。ある生徒は、「メダカの記憶の維持」というテーマを設定しました。観察のための実験装置を作って、いつのタイミングで測ればいいのか、試行錯誤しながらいろいろな条件で観察を続けました。

 この成果として、中高生の研究のための学会「サイエンスキャッスル2021関東大会」で最優秀賞を受賞するなど、SSコースを設定した芽が出始めています。

――理科が苦手という女子生徒は多いです。何が理科嫌いにさせているのでしょうか。

 小学生のころは、みんな理科が好きなんです。でも中学生になったとたん、起こっている現象の理屈を考えなくてはならなくなるので、一気に難しくなりお手上げになってしまうのだと考えています。

 SSコースの1年生が神奈川県・足柄の林間学寮に行ったときのことですが、車中、みんなでダンゴムシの絵を描いてみようということになったんです。私たち大人だと、普通上から見たダンゴムシを描きますよね。なかには真横の姿や、ひっくり返しておなかを描いた生徒もいて、みんなで笑ったり、感心しあったりしました。そうやって楽しむのも理科の原点なんです。

 理科の第一歩は、対象物をきちんと見ること。そうすると自然に「なぜ」という疑問が湧いてきます。次のステップとして調べてみようとか、考えてみようとなる。そのときお手上げにならないように、スキルや方法をきちんと教えていくことが大切なんです。

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柿崎明子
ライター 柿崎明子

NEXT大学と連携する「五修生制度」の強み
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