ロッテの唐川侑己も3票だった。セットアッパーとして活躍しているが、昨年は17試合登板で防御率5.28。他の投手たちと比べて実績は見劣りするが、「無駄な力は一切入らずに流れるようなフォーム。何度見ても美しいなあと感じる」、「カッコいいフォームで浮かんだのが唐川。球が特別速いわけではないし、凄い変化球があるわけではないけど、あの投球フォームは一切の無駄を省いた独特の世界観を感じる」と評価する声が聞かれた。

 2位は5票で、「マサカリ投法」の村田兆治。左足を高々と上げて大きく踏み込み、右腕を勢いよく振り下ろすダイナミックな投球フォームで、現役時代を見ていた50代以上のベテラン記者からの支持が集まった。「村田さんは本当にかっこよかった。あんな投げ方をする人はいないでしょう。落差の鋭いフォークは分かっていても打たなかった」、「最初にあのフォームを見た時は衝撃だった。子供たちはみんな真似していましたね。溜めが長い投球フォームは強靭な下半身がないとできない。オンリーワンでしたね」。

 1位は10票と断トツだった。日米201勝を挙げた野茂英雄。大きく振りかぶり、打者に背中を向けるほど上半身をねじり、右腕を振る「トルネード投法」は社会現象になった。独特のフォームから繰り出される150キロを超える剛速球、様々な軌道で鋭く落ちるフォークで三振の山を築く。現役時代に野茂を取材したスポーツ紙記者は「かっこいいフォームは野茂さん一択ですね。メディアの前では寡黙であまり言葉を発しなかったのですが、マウンド上の投球フォームで心をわしづかみにしていた。日本人選手がメジャーでプレーするのが想像できなかった時代に、野茂さんがパイオニアとなり米国のファンを熱狂の渦に巻き込む活躍を見せた時は誇らしかった。あのフォームは一生忘れません」と振り返る。

 投球フォームには、時にその投手の生き様や哲学が表現される。今後も個性的な投球フォームの誕生に期待したい。(今川秀悟)