「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載28回目の今回は、共働きで中学受験を考えている小6女子のお父さんからの相談です。

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安浪:こういうご家庭、私はよく見てきていますが、基本的には皆さん、子どもが一人になってしまう時間を極力減らそうとしていましたね。おじいちゃん、おばあちゃんに頼ったり、お金はかかりますが、シッターさんや家庭教師に来てもらったり。あるご家庭はご両親ともすごく忙しいご家庭で、お父さんは毎日深夜まで残業。でも、受験前には私が指導の終わる時間に合わせて一旦仕事を抜けて帰っていらっしゃっていました。授業の様子を聞いたり、併願校について私とちょっと話がしたい、ということで。まあ、どこのご家庭でも親御さんは大変そうでしたけれど。

矢萩:一番大事なのは、どんなに忙しくても声かけを忘れないことではないでしょうか。忙しければ1分でもいい。「おはよう」なら1秒だって言える。忙しいからって無視したり、一言も会話をしていなかったりする日をなくす。帰れないなら、電話だっていいんです。「今日はどうだった?」でもいい。両親が忙しくて頑張っているのをポジティブに捉えてもらうために、自分のことをいつもしっかり見守ってくれているという実感が大事です。実感さえあればとりあえず大丈夫なんです。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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