■直接しゃべる、以外のコミュニケーションも

矢萩:そうですね。あとはお母さんのほうがオンラインでの仕事は難しい職種のようなので、お父さんがもし可能であれば、オンラインでできる仕事はオンラインにして、できるだけ顔を合わせる時間を増やすとか。でも、実際にはそんなふうに自由が利かない人も多いですよね。たとえ子どもと生活時間帯が全然合わなくても、寝ている時に「ただいま」と毎日言ってみる。10回に1回ぐらいはきっと聞こえたりすると思うんですよ。そうすれば、お父さん、いつもただいまって言いにきてくれているな、と子どもも思いますよね。合理的に考えずに、そうやって「届けよう」とする姿勢が大事なんだと思います。

安浪:直接の声かけもそうですが、ホワイトボードやノートでコミュニケーションをとっているご家庭もあります。直接しゃべるより、書いて交流することによって親子関係が和んで、逆に関係が良くなったご家庭もありました。書くことは「今日もよく頑張ったね」とかちょっとしたことでいいんです。「勉強したことを書いておきなさい」だとこじれるので注意が必要です。親は「明日の夕食何がいい?」とか、子どもは「学校でこんなことがあったよ」といった勉強以外のやりとりを意識的に取り入れるのをおすすめします。親子がお互いに励まし合うコミュニケーションの場にするイメージです。

矢萩:置き手紙方式はよいコミュニケーションですね。あとはLINEなどのSNSを活用することもできますね。今の時代は、ネット上に家族のつながりがちゃんとあるというのも、よい影響があるんじゃないかと思います。

(構成/教育エディター・江口祐子)

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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