「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載21回目の今回は、受験算数に手を焼いている小6女子のお母さんからの相談です。

MENU ■苦手意識の理由は結構あいまい ■待っているだけでは「やる気」は出てこない ■「わかる気もしないし、やりたくもない」というメッセージ ■解説して終わってしまう家庭教師はダメ

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■苦手意識の理由は結構あいまい

安浪:最初から結論になっちゃうかもしれませんが、このケースはご家庭だけでやっていくのは難しいかもしれませんね。まずは「この先生が好きだから一緒に勉強したい」とお嬢さんが思える人を見つけたほうがいいかもしれない。私の授業も原点はそこです。

矢萩:そうですね。算数に限らずですが、苦手意識の理由は結構あいまいな場合が多く、「できない・わからない」というよりも「興味が持てない」の方が多い気がします。そういう場合、コンテンツよりも先生に興味を持ってもらって、「この先生が言うのだからやってみよう」というモチベーションに持っていくことも方法の一つですね。いざできるようになれば楽しくなってくることも多いので。

安浪:そもそも、本人は辞めたいって言うかもしれないけれど、親御さんはやらせたいんですよね。辞めちゃダメなんですか?とも思いますが。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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