明石市の泉房穂市長(撮影・今西憲之)
明石市の泉房穂市長(撮影・今西憲之)

「今まで家族や役所からツイッタをして失言、炎上したらと羽交い絞め、止められていたんです。こうしてはじめてみると、市政運営をする上で勉強、参考になることも多々あり、よかったです。今のところ大炎上はありませんね、プチ炎上くらいか」

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 こう苦笑しながら話すのは、兵庫県明石市の泉房穂市長だ。

 子どもや高齢者など社会弱者に寄り添った政策で、全国から注目を浴び、中核都市人口増加率全国1位、全国戻りたい街ランキングでは全国1位と結果も出している。

 知事や首相、相手がどんな大物でも、舌鋒鋭く迫ってきた泉氏だが、SNSで自ら発信することはなかった。昨年12月21日から突然、はじめたのがツイッターだ。

 アカウントを開設し、1カ月にも満たないうちに、泉氏のフォロワーは8万5千を超えた。2013年からツイッターをはじめている立憲民主党の泉健太代表のフォロワーは2万3千。(明石市長の)泉氏の方が3倍近く多いのとツイッターなどで話題になった。

「正直、まだツイッターの仕組みがわかっていないのですが、注目をいただいているのはうれしい。フォロワーの皆様には感謝です。8万5千が多いか少ないか、よくわかりません。しかし、弁護士時代の司法修習生同期の橋下くん(橋下徹元大阪府知事)は、270万でしょう。それとくらべたら全然です。まあ、芸能人ではないので、そんな気にはしてませんけどね」

 なぜ、ツイッターをはじめたのか。理由を聞いてみると泉氏は以下の3点をあげた。

1 市長としての説明責任

2 明石市の政策を広く知ってほしい

3 自分も楽しみたい

 1~3の理由を泉氏はこう説明する。

「1についてですが、市長としていくら説明してもすべて市民に真意、詳細な点まで届けることは難しい。その点、ツイッターは短くコンパクトに訴えられる。スマートフォンで手軽に見ることもできます。ツイートすると、コメントがつき、すべて読みます。市民の反応、意見もあるので参考にできます。2は、ツイッターをはじめた日、旧優生保護法で不妊や中絶の手術を強いられた市民とその配偶者を支援する条例を全国で初めて可決した。これを広く伝えたいという思いがありました」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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