山口県警の捜査で大騒ぎになっているが、こうした勧誘はこれまでも「暗黙の了解」だったという。

「昔から県庁、市役所ではこっそり自民党議員後援会に入会してほしいと部下に頼んだり、演説会の動員の協力を依頼するなどしていました。だから、頼む方、頼まれる方も、またかという感じで、法に触れる重大なことという意識は希薄だったと思う。政治は力なので安倍氏が首相の座を去り、林氏がそこを目指すとなれば、役人はどうしても、権力に忖度しますね」(同前)

 AERAdot.で既報したように、山口県は次の衆院選では「10増10減」の対象になっている。山口3区と4区がほぼ1つの選挙区になり、1議席減となる可能性がある。つまり、林氏か安倍氏、どちらかが小選挙区から撤退を余儀なくされることを意味する。

 林氏は外相就任後の12月初めに、下関市の林家の墓参りに里帰りした。事前に林氏墓参の情報が駆け巡り、地方議員、支援者ら三百人もが出迎えた。山口県の県議がこう話す。

「下関は安倍氏の地元・山口4区になる。そこへ林氏が墓参りと入ったので、緊張が走った。議席減でも小選挙区は自分のものというアピールではないかと憶測が流れ、安倍氏はイライラしていると聞きました。そこに今回の公職選挙法違反事件が起こり、林氏には大きなダメージとなった。政治的な背景があったのではないかとの見方もでた」

 だが、捜査関係者はこう話す。

「もともとマークしていたが、これほど大掛かりにやれば、バレますよ。証拠が固まったので捜査に着手したということ。政治的な背景はない」

 20年以上、自民党政務調査会の調査役を務め、歴代首相に仕えた政治評論家の田村重信さんはこう話す。

「山口県は1つ議席が減るのは、人口が減り衰退しているからです。安倍氏が2度、首相になったが山口県の衰退をとめられなかった。それを県庁、市役所は敏感に感じ取った結果、公職選挙法にひっかるほど、林氏の支援にのめり込む事態になったと私は聞いている。山口県は福岡県の経済圏。福岡は元気だが、山口県は取り残されつつあり、林氏への期待感が過剰に出過ぎたのでしょう。安倍家と林家は中選挙区時代からライバルです。今は永田町では林氏の勢いが優っているとされていますが、一寸先は闇。混沌としてきますよ」

(AERAdot.編集部 今西憲之)