「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載8回目の今回は、中学受験を親戚からすすめられているお母さんからの質問です。

MENU ■知識を入れることと「詰め込み」の違い ■地球の「半径」がわかっても「直径」がわからない ■取り組み方を間違えると、つらい経験しか残らない

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■知識を入れることと「詰め込み」の違い

矢萩:一方的に中学受験をすすめるのもどうかと思いますが、ご相談者さんも「中学受験=詰め込み教育」という先入観があるかも知れませんね。

安浪:中学受験はいい経験になるか否かの話と、詰め込み教育の話を同列に語ってしまうと、ややこしくなりますね。まずは、詰め込み教育とはなんぞや、の話からしましょうか。

矢萩:我々もよく『詰め込みにならないように』という言い方をするのですが、そうすると一部の親御さんから『受験なんて知識を使って勝負するものなんだから、詰め込んでナンボでしょ』と反論を頂くことがあります。

安浪:わかります!でも、我々も知識を入れること自体は全く否定していない。

矢萩:そう。人間は知識を使って物事を考えながら実行して経験を重ねることで、より豊かに生活したり、夢を叶えたりするわけですから、知識も経験も同じように重要です。詰め込みか否か、というのは主体性の問題なんです。覚えたい、知りたい、と思っていて覚えていることは詰め込みじゃない。覚える意味を感じていない、特に知りたくない、でもテストに出るからしょうがない、と無理やり暗記しているのを詰め込みというわけです。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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