矢萩:結局、小学校に入ったら、中1になったときの心配をして塾に入れる。これも逆算人生。

安浪:そうなると、いつになっても勉強人生、塾人生から降りられないんですよね。

矢萩:同じ学校でも、小、中、高と文化が違ってくることがあるのでややこしいんです。小学校ではゆったりした学校が中学に上がると進学校になるとか。そうなると、同じことをやっても今までは評価されていたのに、中学に入ったら評価されなくなる、ということが起こったりする。

安浪:勉強軸で評価されるとどうしても中学から入ってくる子の方ができる場合が多いですから。そうなると小学校から入っていた子は自己肯定感が下がってしまって、さらに勉強しなくなったり、途中で辞めていくケースもありますね。

■子どもの幸せのため?親が保険をかけているだけ?

矢萩:結局、大学受験が大変だから中学受験、中学受験が大変だから小学校受験しようね、だとその子の発達段階と合っていない学びを強要していることがある。それが問題。でも業界がそれを煽っていますからね。不安を煽るのが一番簡単に集客できるから。

安浪:中学受験の場合だと学力うんぬんの前に、精神的に幼すぎて中学受験は難しいかな、と思う子は確かにいますね。ただ小学校受験の場合だと、逆に小さすぎて、親の言うことを聞けちゃうんですね。朝起きたら英語やって、公文やって、という感じで何でも親のいう通りにできる。特に長男長女は言うこと聞きますね。

矢萩:そうですね。だから小学校受験の場合は、子どもの自我がはっきりしていない時点で親が決めている、と言うことを心に留めておいた方がいいですね。

安浪:先ほどの逆算の話じゃないですけど、子どもの幸せを思って、といいながら結局は親が保険をかけているだけ、ということもありますからね。

矢萩:あとは親の価値観の押し付け。これは中学受験の話なのですが、あるお母さんの相談を聞いたら、息子をどうしても慶應に入れたい、という。本人の口から一度も聞いたことのない学校名だったので「なぜ?」と聞いたら自分が大学の時、慶應の友達は皆楽しそうだったから、と(笑)。それって完全に母親の価値観ですよね。息子にマッチするかどうかはわからない。そんなに慶應が好きならお母さんが慶應の大学院に行ってください、って(笑)。

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