「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。

MENU ■目的のない「逆算人生」に危機感 ■子どもの幸せのため?親が保険をかけているだけ? ■子どもの「意思決定力」が重要

 思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載3回目の今回は、小学校受験を考えているお母さんからの相談です。

【相談3】

■目的のない「逆算人生」に危機感

安浪:中学受験のセミナーをやっていると、時々、まだすごく小さいお子さんの親御さんがいらっしゃったりします。「え?どうして?」と思っていると、このご相談者さんのように、「中学受験にするか小学校受験にするか迷っているので」と仰ります。

矢萩:僕はよく「逆算人生」と言っているのですが、大学受験を避けたいから大学付属の学校に入れよう、中学受験を避けたいから小学校受験……というように、目的もないまま、ただ不安を避けるために遠い将来から逆算して人生を選んでいることに危機を感じるんです。そして、そのために相性の良くない学習法を強要するような価値観にも問題を感じます。もちろん、大きな目的に向かって小さな目標を立て、それを達成していくことで理想の人生に近づいていく、と言うような本質的な「逆算」は大賛成なのですが。

安浪:わかります。そもそも小学校受験したら後がラクになるかと思ったらそうでもなくて。実際、私立の小学校に通っているご家庭からの相談は多いです。

矢萩:うちもありますよ。

安浪:私立の小学校はカリキュラムのスピードが早いから、ついていけない。しかも、中学になったら中学受験の勉強をしてきた子たちと一緒に机を並べなければいけないから、不安。私立でも塾に行っている子、すごく多いです。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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