そして、男性に撮り鉄たちが詰め寄り、「マジで、金だろ」「死ねよマジで」などと口汚い言葉を放った。男性は何も言い返すことなく、一方的に罵声を浴びていた。

 住民にとっては夜中に大声を出されるだけでも迷惑だが、安全面でも心配が残った。多くの人は車道に出て撮影し、しかもカメラのファインダーばかり見ていたという。

「そもそも中高生のような子供たちがこんな遅い時間に出歩いていて大丈夫なのか。親は何も言わないのかと心配になりましたよ。トラブル後に、怒って帰る人はいましたが、15人くらいは残っておしゃべりしてましたね。終電を過ぎる時間なので、ほとんどの人がレンタサイクルか、一部の大学生らしき人や大人たちはレンタカーでした。」(同)

 トラブルが起きた交差点は、撮り鉄たちにとって絶好の撮影スポットとなっている。11日、現場に足を運ぶと、カメラを手にシャッターチャンスをうかがう人たちの姿があった。車の往来が多く、警備員が2人、交通整理にあたっていた。時おり道路を江ノ電が通りすぎ、カメラを構える人たち。現場に歩行者用の信号機はない。

 交通整理にあたっていた警備員は、「電車の写真を撮る人が、車道に出ているのを見たことがある」と証言。現場付近を歩いていた70代男性も、「信号がないうえに車が多いから、接触事故が多い。カメラを構える人が出てきたら、余計に危ない」。現場では県外ナンバーの車も多く、慣れない土地での運転の中、急に人が車道に飛び出してきたらすぐに気づけるだろうかと不安になった。

 もちろんトラブルを起こしたような迷惑な「撮り鉄」は一部で、マナーやルールを守って楽しんでいる人のほうが圧倒的に多い。実際、こんな声もあった。

「普段このあたりで撮っている人は大人も多く、マナーはあまり気にならない。夏休みだから若い子ばかりが集まったのでは」(近隣住民)

 江ノ電はこのトラブルを把握していたのだろうか。現場付近の住民からは江ノ電側に対応を求める声もあった。

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江ノ電は騒動を「承知」 どう捉えているのか