離婚した福原愛(右)と江宏傑(C)朝日新聞社
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「福原愛さんの離婚のニュースで、共同親権という言葉を見て、本当に台湾がうらやましく思いました」

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 こう語るのは、10年ほど前に1歳の子どもの親権を失った会社経営者のKさん(50)だ。元妻は6歳年下の地方公務員。離婚の際、元妻の不倫疑惑もあったというが、Kさんは親権を取れなかった。

「入籍直後、他の男と関係を持っているという証拠が出てきました。家事はほとんどやらず、独身時代のように飲み歩いてばかり。子どもが産まれたら、母という自覚が生まれて、真面目になってくれるかと思ったんですが、出産後は育児放棄のような状態でした。なので家事育児はほとんど私が担当しましたが、当然、夫婦関係は険悪になっていきました。すると『あなたに受けた暴力が』などと言い始め、私に無断で子どもを連れて家を出て行きました。私からみれば“連れ去り”です。そして離婚協議の際、私をDV男として仕立て上げようとしたんです」

 Kさんはその後、家庭裁判所で審判という手段をとり、妻のDV主張が虚偽だということを裁判官に認めさせた。何とか月一回5時間の面会交流は認められたが、親権を取ることはできなかった。

「もし日本に台湾のような共同親権があれば、妻の行動はまったく違ったものになっていたでしょう。親権を確実に得るために子どもを連れ去ったり、あることないことを裁判で主張したり、長い年月をかけて法廷で激しい争いをしたりすることはなかったはずです。福原愛さん元夫婦のように、共同親権でスピード決着できる台湾の制度だったらどんなに良かったかと思います」

 7月9日、卓球の福原愛(32)が、夫の江宏傑(32)との離婚成立を連名で報告した。その中で、次のような一文が目を引いた。

「私共の子供達については、共同親権となりますので、少しでも子供達への影響を減らすことができるよう、それぞれ努力いたします」

 共同親権、という用語はSNSなどでトレンドワードとなり、一部の報道番組でも取り上げられた。

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台湾における「共同親権」の現実