欧州に在住するジャーナリストは現地での反応をこう語る。

「翻訳は非常にデリケートです。日常会話のように無意識で使っているスラングな言葉が重く受け止められる危険性がある。ただ、この動画を見ると言い訳はできない。デンベレは明らかに『醜い顔』と言っているし、グリーズマンも馬鹿にしたような態度を取っている。フランスでも彼らに対して『差別的な発言ではない』と擁護する声はありますが、『恥ずかしい行為』、『フランス代表でプレーする資格はない』など批判的な意見の方が多い。自分たちの文化が世界の常識にあてはまるとは限らない。両選手はもっと深刻に受け止めるべきですね」
 
 ただ、元2ちゃんねる管理人で実業家のひろゆき氏はこの問題について違った見解を示す。自身のYouTubeで、「悪口と差別発言は違う」と主張した上で、デンベレの発言は悪口で、日本人に対する差別の意図はないという見解を示した。その理由として、あの動画内で日本人従業員がウイニングイレブンの言語設定を日本語からフランス語に変えているという状況に、多くの人達が気づいていないと指摘。日本語を馬鹿にしたのではなく、言語設定の問題について会話しているという見解を示した。「フランス語の知識と日本語の知識の両方が分かっていないと(動画)全体の構造が理解できない」「『あれを差別と認めないんですか?』、『フランス語が分からないんですか?』と書いているんですけど、あれは悪口なんですよ。差別だと言い張りたい日本人が多いんですよね。なんであれを差別にしたいのかわからない」と強調した。

 この主張に対し、「言いたい事はわかるが、あの3人の日本人と彼らが個人的な付き合いがあり、あの会話をしていたなら、悪口と言う認識でもいいが、たぶん彼らとあの場にいた日本人は面識もなく彼らからしたら、3人の日本人という括りで行われた会話なので差別の意味の方が強いと思います。『ひろゆきのバカ』と言うか『日本人のバカ』と言うかの違いです。これを同じ悪口にするのは無理がありすぎますよ(原文ママ)」、「これは日本人だから言ってると思う。顔が汚いとか醜いとか悪口には違いないが充分差別だと思う。そもそもわざわざ撮影した意図は何でしょうか。本人にその気があったかは不明ですが拡散させた理由は何でしょうか。私は悪口と差別の違いというより無意識の差別か故意の差別かの違いのように感じます。またこの動画でも言ってますが、差別を助長する恐れがある以上意識しての差別でなくとも充分差別行為だと思う(原文ママ)」などコメント欄では異論が目立つ。

 悪口と差別発言の境界線も曖昧だ。発言する人間にその意図がなくても、受け手が差別と捉えることもある。言論の自由は尊重されるべきだが、言葉に対してもっと敏感になるべきだろう。(牧忠則)