放送作家の鈴木おさむさん
放送作家の鈴木おさむさん

 放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、男性不妊と夫婦の形について。

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 今日は男性不妊について。

 その前に、僕は自分のインスタで漫画の連載を始めました。毎週金曜日にアップしてまして、僕が原作でしたら領さん作画、コルクの佐渡島さんがプロデユース「ティラノ部長」という漫画です。名の通り、部長がティラノサウルスなんです。バブル期に入社した50代。

 昔はイケイケでしたが、今はパワハラ、セクハラなどで大変な時代。部下に気を遣って心苦しく生きているのがティラノ部長。肉食の代名詞として、ティラノサウルスにしました。

 16コマ漫画で、毎回小さなエピソードで展開していきます。例えば、部署の飲み会をするのですが、部下が頼んだ飲み物が全部ソフトドリンクだったりとか、部下のfacebookに友達申請をしたけど、あっさり拒否されたりとか。「ティラノ部長、がんばれ!」と言いたくなる話。

 このティラノ部長、離婚しています。子供はいない。で、先日掲載した第七話で、僕がこのティラノ部長で描きたかった話を作りました。それは男性社員が、子供が生まれて育休の相談をしに来るというもの。「出産」と言う言葉を聞き、胸が少し痛むティラノ部長。実は、ティラノ部長は結婚してからずっと子供が出来なかった。精子の検査をしたら、精子がかなり少ないことがわかり……不妊の理由が自分だったことに気づく。そこから頑張ったけど、子供は出来ず。離婚。奥さんは子供が出来なかったことが離婚の理由じゃないとは言いますが、ティラノ部長はそれが理由の一つだと思っている。

 そんなティラノ部長の過去を知らない部下は、「部長はもうお子さん、大きいんですか?」と聞きます。そして「子供はいなくて」と返す。最終的にティラノ部長は大きな声で「出産おめでとう」と言う。

 この物語を掲載してから、コメントにはたくさんの感想を頂きました。同じように男性不妊で悩んでいる方、夫婦の方からのコメントも多数。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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