■派手さはないが記憶に残る名作になる!?

 戸田恵梨香に絶大な期待が寄せられる今回の作品だが、作品を支えるスタッフも盤石の布陣なのだという。

「脚本は『妹よ』『みにくいアヒルの子』などでフジテレビの全盛期を支えた水橋文美江で、朝ドラは初挑戦になります。ストーリーテリングと構成力には定評があるため、テンポのいい朝ドラになる可能性は相当高いと思います。また、主題歌をSuperflyが担当しているのもすごくいい。前々作の『まんぷく』と同様大阪NHK制作のため、派手さはないが、しっかりと記憶に残るいい朝ドラになるのではないでしょうか。滋賀県を舞台に、信楽焼に着目するというのも往年の朝ドラっぽくてとてもいいですよね。『女性陶芸家はまだ描いてなかったか』と唸った朝ドラ愛好家は多いはずです」(前出の編集者)

 TVウォッチャーの中村裕一氏は、戸田恵梨香の魅力を次のように分析する。

「戸田さんは地味な印象を持たれがちですが、『コード・ブルー』シリーズや『SPEC』シリーズと、大ヒットしたシリーズドラマに出演しており、女優として確固たる実績を残している実力派です。派手さはなくとも、演じる人物の心情を見る人にしっかり伝えられる表現力はさすがだと思います。演技に幅が無かったり、下手に自分のキャラクターがにじみ出てしまったりすると、『いつ見ても同じ芝居』という悪印象を持たれてしまいますが、彼女にはそれがまったくありません。また、ムロツヨシさんと共演し、昨年10月クールに放送された『大恋愛 ~僕を忘れる君と』でも、『キャストが地味すぎる』とやや低評価だった前評判を見事に跳ね除け、テレビ誌が主催するドラマアワードでは堂々の主演女優賞を獲得しました。ですので、序盤は少々向かい風くらいのほうが、彼女の本領を発揮する絶好のシチュエーションと言えるかもしれません。おそらく『スカーレット』が終わった後、彼女の女優としての地位は揺るぎないものとなっているでしょう」

 果たして『スカーレット』は実力派女優・戸田恵梨香の転機となるのか。期待して見守りたい。(藤原三星)

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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