運賃は両社間での通算や割引はなく、それぞれの運賃を足した額に一律30円の加算運賃が必要となる。これは相鉄新横浜線の建設事業費を転嫁するため。既存の横浜乗り換えでJR線や東横線ルートのほか、海老名~新宿間の小田急ルートなどと比較し、運賃が割高になるケースもある。運賃や所要時間などを勘案しつつ、既存ルートとうまく使い分ける必要がありそう。

 車両は相鉄が2019年4月に導入したばかりの12000系を充当、JR東日本からは埼京線と川越線で運用中のE233系7000番台が乗り入れる予定だ。すでに相互乗り入れに向けた試運転が両社で実施されており、相鉄12000系が新宿や川越に乗り入れたり、E233系7000番台が海老名駅や営業運転では通常乗り入れない相鉄横浜駅乗り入れたりするなど、鉄道ファンの間で話題となった。

 また、相鉄12000系とJR車両の並走はもちろん、山手線の新宿~高田馬場間における西武鉄道車両との競演など、これまでにはありえなかった鉄道シーンも見られるようになる。

 今回の開業は「神奈川東部方面線」として進められている事業の一環で、背景に見据える人口減への備えという側面も。相模鉄道では2022年度をメドに東急東横線および目黒線との直通運転に向けた準備も進行中。同ルートは新横浜駅で東海道新幹線などと接続する計画で、沿線利用者の利便性がさらに向上するのと合わせ、県外での相鉄ブランドの浸透も図る。(文/植村 誠)

○植村誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。