「デビュー前の若手」に6年48億円 MLBで“究極の先物買い”はなぜ起こる? (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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「デビュー前の若手」に6年48億円 MLBで“究極の先物買い”はなぜ起こる?

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杉山貴宏dot.
ホワイトソックスの期待の若手エロイ・ヒメネス(写真:getty Images)

ホワイトソックスの期待の若手エロイ・ヒメネス(写真:getty Images)

 昨オフはフリーエージェント市場での両巨頭と見られていた2人、マニー・マチャド三塁手がパドレスと10年3億ドルで契約し、続いてブライス・ハーパー外野手もフィリーズと13年3億3000万ドルというFA史上最高額の大型契約を結んだ。その一方で、彼らとは別の意味で注目された契約があった。ホワイトソックスがエロイ・ヒメネス外野手と開幕直前に結んだ6年4300万ドル(約48億円)の契約がそれだ。

 ヒメネスの契約はマチャドやハーパーらとは契約期間や総額では比べ物にならない。だが後者2人がすでにメジャー屈指のスラッガーとして実績を残しているのに対し、ヒメネスは契約時点でメジャーデビューすらしていなかった。つまりこの契約は、究極の先物買いと言っていい。

 この異例の契約を実現させたヒメネスとはどんな選手なのか。1996年の11月27日生まれで、現時点でまだ22歳。ドミニカ共和国の出身なためドラフト指名ではなく、2013年8月にアマチュアFAとしてカブスと契約してプロ入りした。マイナーでは広角に打ち分ける確実性の高いスラッガーとして瞬く間に頭角を現し、2017年7月にはカブスがホワイトソックスからエース左腕ホセ・キンタナ投手を獲得するための見返りとして放出するキープレーヤーとなったことで注目を集めた。

 ホワイトソックスでは2018年途中に早くも3Aまで昇格。55試合で打率3割5分5厘、12本塁打、33打点をマークした。さらにそのオフには故郷ドミニカのウィンターリーグに参加し、8試合ながら打率4割4分8厘、2本塁打、9打点の好成績を残している。掛け値なしの若手有望株であるのは間違いない。

 とはいえ、メジャーでの実績は文字通り皆無であり、豊かな将来性とはつまり希望的観測と言い換えても差し支えないものだ。ではホワイトソックスにとってメジャーデビュー前の新人との長期契約にはどんな狙いがあったのか。

 それを語る前にまず押さえておかなくてはならないのが、メジャーリーグの年俸調停権について。高額年俸なイメージが強いメジャーリーガーだが、ほとんどの選手はデビューから3年ないし4年は最低ラインに近い50万ドル台までしかもらえない。これはアクティブロースターないし負傷者リストへの登録日数が3シーズン分に満たないと年俸調停の権利が発生せず、どれだけ活躍しようとも球団の提示額を飲むしかないからだ。


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