佐藤二朗「戸惑うほど反響があった6歳の息子へのツイートで反省」 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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佐藤二朗「戸惑うほど反響があった6歳の息子へのツイートで反省」

連載「こんな大人でも大丈夫?」

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佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける

※写真はイメージ

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 その団体に久松信美という先輩の男優がいました。もちろん現在も映像や舞台で活躍する久松さんは、当時、僕にとって雲の上のような存在でした。自転車キンクリートに所属していた頃も、ずいぶん久松さんにはかわいがって頂き、大変お世話にもなりました。

 その後、僕は31歳の時に映像主体の事務所に移り、大変ありがたいことに、僕が本来やりたかったドラマや映画に出ることが多くなりました。

 僕が35歳の時、偶然久松さんと電車で会いました。当時久松さんは42歳。「お~じろ~」、昔と変わらぬ人懐っこい笑顔で久松さんは接してくれました。電車の中で久松さんと昔話に花を咲かせていると、大学生くらいの男の子が近付いてきました。「佐藤二朗さんですよね?」。彼は僕に握手を求めてきました。握手して彼が去ったあと、少し躊躇しながら久松さんの顔を見ました。その時の久松さんの顔は恐らく一生忘れません。「二朗~、お前、売れやがって、この野郎!」。久松さんは本当に、本当に、本当に嬉しそうな顔でそう言ったのです。

 僕が久松さんなら、絶対にあんな顔で笑えないと思いました。ケツの穴が小さい僕は、後輩のその姿を見たら、「悔しい」とか「嫉妬」の感情で、心が満たされると思います。少なくとも、あの時の久松さんのような、あんな顔は僕には絶対にできない。本当に、そう思います。

 先に書いたツイッターの内容は、実はこの時の久松さんのことを思って書きました。「人の不幸をちゃんと悲しむ。人の幸せをちゃんと喜ぶ」。息子にこうなって欲しいという大人の姿は、そのまま、僕自身が憧れる大人の姿なのかもしれません。(文/佐藤二朗)


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佐藤二朗

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける。原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)が6/4(金)全国公開。

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