那覇市在住の50代の男性学会員は「いままで学会の選挙活動には協力してきたが、平和思想をないがしろにするような候補を応援する今回ばかりは協力できない」

 また、千葉県からたまらず沖縄に駆け付けたという50代の女性学会員は、「玉城氏を支持するというと周りの学会員にはだいぶ怒られた。だけど、いま勇気を出して言わないと沖縄がダメになってしまう」と話した。

 一方、沖縄県は8月、名護市辺野古の埋め立て承認を撤回するなど政府と対立姿勢を強めているだけに、自民は佐喜真氏を是非とも勝たせたい。それを象徴するような話がある。

 沖縄出身で5月に県民栄誉賞を受けた安室奈美恵さん(9月16日に引退)は、翁長雄志前知事が亡くなった翌日にこんなコメントを発表した。

<翁長知事のご遺志がこの先も受け継がれ、これからも多くの人に愛される沖縄であることを願っております>

 沖縄の若者に大きな影響力を持つ安室さんだけに、翁長氏寄りとも読めるこのコメントを面白く思わなかったのが官邸サイド。地元に怒りをぶちまけたと言うのだ。社民党の照屋寛徳衆議院議員が言う。

「官邸が沖縄の建設業者へ電話を入れ、『安室奈美恵は、あんなコメントを発表してけしからん』と不満を漏らしたのです。そんなことを沖縄の人たちに言う官邸こそ、奢り高ぶっていてけしからんのではないでしょうか」

 こうした自民党の奢りを指摘する声は、自民内部からも聞こえてくる。

「佐喜真氏は沖縄の携帯料金を4割下げると言ったが、あれこそ沖縄県民を金で釣ろうとバカにしている。それを言わせた安倍政権が奢ってしまっている証拠です」(中堅議員)

 選挙戦もいよいよ終盤だが、今回の知事選では期日前投票が際立って多い。9月26日現在で全体の約2割に当たる1万6183票が投票を済ませた。これは4年前の知事選と比べて2・4倍多い。期日前投票数は組織票の多さに比例すると言われるが、今回は投票日に台風24号が沖縄に接近すると予想され、両陣営や選挙管理委員会が早めの投票を呼び掛けていることもある。

 果たして、県民はどちらを選ぶのか。(ジャーナリスト・桐島瞬)