人間の記憶力については諸説ありますが、電車の中などでぱっと読んで覚えられるのはやはり7語が限界じゃないかと。金フレを作っているときは、いい例文を考え付いても7語におさまらないことが多く苦労しましたが、結果みなさんに「覚えやすい」「読みやすい」と言っていただけたので、良かったです。

――確かにこれ位の長さの例文だと、目にしたときに圧迫感がありません。

 ほかにも、こだわったところは結構あるんですよ。見出し語はその例文の中で一番難しい単語にする、とか。せっかく見出し語を覚えたいのに、単語集でありがちな「例文に出てくる他の単語の意味が分からない」ということが、ほとんどないようにしました。

 もう一つ気を配ったのが、単語の出てくる順番です。例えば、300番の見出し語は、299番までの例文では使っていませんし、反対に見出し語として出て来た単語は、出来る限りその後に出てくる他の見出し語の例文でも使うようにしています。だから読者の方は頭から順番に読むことで簡単な単語から難しい単語へ自然にレベルアップしていけるし、復習も出来るんです。

――学習者のための工夫が満載ですね。先生ご自身は、学生時代に単語集を使って勉強をされたことはありますか?

 ありますが、1冊を最後まで終えられたことはほとんどありません。単語集って、最初から最後まで同じ内容だから、続けるのがしんどいんですよね。金フレを作る時はそういった自分の経験も踏まえて、読者が飽きないよう色々な要素を取り入れました。

――先生の似顔絵マークのところでは、「TOEICの世界では、些細な問題に対してもすぐに委員会が結成される」とか、「TOEICの世界では、昇進はあっても降格はない」といった“TOEICの世界観”が紹介されていて面白く拝見しました。

 あのコーナーは息抜き的な役割ですが、見出し語の意味と連動させたり、スコアアップに役立つ要素を盛り込んだりもしているので、きちんと読めばTOEICの世界観を理解するのに役立ちますよ。

「やる気のない日は、顔マークのところだけ読む」なんて言う学生もいますが、それもいいかも知れません。読み物として楽しみながら単語学習を続けられれば、それが最終的にスコアアップにつながるわけですから。