鈴木砂羽 (c)朝日新聞社
鈴木砂羽 (c)朝日新聞社

 女優の鈴木砂羽(44)が主演・演出する舞台『結婚の条件』(東京・新宿シアターモリエール)で出演予定だった女優2人が降板したトラブル。女優サイドは稽古場で鈴木に罵声を浴びせられ、土下座を強要されたと主張し、「代役を探した」と言われたから降板したとコメントした。

 これに対して、鈴木サイドはパワハラを否定し、降板を申し入れてきたのは女優側だと説明した。双方の主張が食い違うなか、女優側の所属事務所社長が一部のメディアに登場し「収拾はついた」と話したことで、いったんは落ち着いたかとも思われた。しかし、後日また同社長が反論をするなど、いまだ泥仕合の様相を呈している。

 今回の騒動について見方はいろいろあるようだが、有名俳優やタレント、舞台関係者からは鈴木を擁護する声が多い。

 例えば俳優の高橋克実(56)は、「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系)のなかで、「(演出の鈴木は一段高いところから見ているので)土下座に見えると思う」と舞台稽古の仕組みについて説明。さらに同番組では、カンニング竹山(46)が、「普通の会社のセオリーとは違う、舞台の仕事はチケットを販売しているので、普通の契約で解釈してはいけない」と指摘している。

 このほか、朝のワイドショーでコメンテーターを務める面々も、基本的には鈴木を擁護している。例えば、梅沢富美男(66)は「演出家というのは出演者のスケジュールを把握しているもの」と発言。高木美保(55)も芝居の世界の厳しさについて語り、鈴木を庇った。

「今回の件に関しては、互いのコミュニケーション不足が垣間見えますね。一部では、女優たちならではの、いじめやケンカについて報じられていましたが、基本的には演出家と役者は密なコミュニケーションが必要です。今回、鈴木さんは、初演出ということで気合が入っていたと思いますが、その気持ちが空回りしてしまい、『演者から見くびられないように』と、力みすぎたのかもしれません。気が強いのは、バラエティーなどで見える姿そのものですからね(笑)」(民放ドラマ制作スタッフ)

 一方、坂上忍(50)は「バイキング」(フジテレビ系)で、この騒動に関して「役者たちに非はない」としつつ、本件は「制作サイドの不手際」だと指摘。また、芝居の世界での厳しいやりとりがあってこそ、舞台ができあがるという趣旨の発言もしている。そんな中で、芸能プロの幹部からはこんな話も聞こえてきた。

「多くの役者やタレントが、舞台での厳しい指導や稽古を経てメディアに出られていますからね。擁護したくなるのも当然でしょう。プロの役者なら、病気やけが以外の理由で、初日直前に降板するほうが評価が下がると思います。演出家にどんなに辛く当たられても、本番をやりきるのが演者ですよ。例えば、昨年、亡くなった蜷川幸雄さんは厳しい指導で有名でした。怒ると灰皿が飛んできたなんて話もありますが、一方で多くの役者を育てて、その告別式では指導について涙ながらに感謝を述べる俳優たちばかりでした。もし、稽古の段階で腹の立つことがあったなら、今後は二度と仕事しない方針を取ればいいだけの話です」

 また、スポーツ紙の芸能担当記者からもこんな意見も聞かれた。

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