イタリア国際3回戦への進出が決まった錦織圭(写真:Getty Images)
イタリア国際3回戦への進出が決まった錦織圭(写真:Getty Images)

「自信をつけてフレンチ(オープン)に挑みたいので、なるべく多くの試合ができるように今週は頑張りたいです」

 イタリア国際の初戦を2日後に控えた時点で、錦織はそう口にしていた。

 先週のマドリード・マスターズでは、手首の痛みを訴えて準々決勝を棄権。全仏オープンを2週間後に控えていることを考えれば、イタリア国際も無理をしないのでは……との予測もあったが、錦織はむしろ全仏があるからこそ、その前に実戦で勝利を手にして自信を得たいのだと言った。

 選手とは往々にして、そのようなものなのかもしれない。錦織は以前に、「例え1週間くらいでも、まったくテニスをしないと試合勘は多少なくなる」と言ったことがある。あるいは、昨年末に手首のケガのためにシーズンを早く切り上げたナダルは、その決断が今季の好調につながったかと問われると、「それはわからない。僕にとって、良いプレーにつながるのは激しい練習だ。オフに1カ月半激しい練習ができたことが良かった」と断言した。全力での練習、そして厳しい実戦を勝ち取った実績――錦織が今欲しているのも、そういったものだろう。

 テニスの調子そのものは、先週のマドリードの2試合を通じて「良くなってきた」と手応えをつかみ挑んだ今大会。その初戦(1回戦免除の2回戦)の相手が、先週快勝したばかりのダビド・フェレールだったのも、落ち着きと自信をもって挑めた要因だったろう。

 もっとも、ここイタリアのクレーはマドリードに比べると「ボールが重く感じるのと、コートが少し柔らかくイレギュラーも多い」ため、立ち上がりは多少のやりにくさを覚えもしたようだ。常時時速190キロを超えるサーブと伸びやかなフォアはケガの影響を感じさせなかったが、ブレークした第5ゲームの直後では0-40と3つミスが続き、ブレークバックを許す。ゲームカウント4-4からの相手サービスゲームでは連続ブレークポイントも手にしたが、ここでは痛恨のスマッシュミスもありチャンスを生かせなかった。

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