グランプリファイナルでネイサン・チェン(左)や宇野昌磨(右)を抑え優勝した羽生結弦(写真:Getty Images)
グランプリファイナルでネイサン・チェン(左)や宇野昌磨(右)を抑え優勝した羽生結弦(写真:Getty Images)

 韓国で開催される2018年平昌冬季五輪まで1年を切った2月16日、江陵市内の五輪公園にある江陵アイスアリーナで四大陸選手権が開幕する。五輪プレシーズンとなる今大会は本番会場で行われるテスト大会を兼ねており、最終日の19日にフリーが行われる男子シングルには、世界トップの強豪が顔をそろえた。

 4年ぶりの四大陸出場となるソチ五輪金の羽生結弦に加え、同銀のパトリック・チャン(カナダ)の2人のメダリストを含め、次世代の若手である全日本王者の宇野昌磨、全米チャンピオンのネイサン・チェン(米国)、そして中国選手権制覇のボーヤン・ジン(中国)という豪華な顔ぶれで表彰台を争うことになった。ソチ五輪以後、4回転新時代に突入しているが、五輪プレシーズンの今季は4回転の種類がこれまでの2つから4つも跳ぶ選手が出現するなど、さらに拍車がかかっている現状だ。

 そのなかで、ソチ大会からの五輪連覇を目指す羽生が、久しぶりの四大陸選手権で初優勝を狙う。昨年12月の全日本選手権をインフルエンザで欠場して、ファンやスケート関係者を心配させたが、約2カ月ぶりに国際スケート連盟(ISU)主催となる今大会で復帰する。調子は上々のようで、14日から始まった公式練習では、新しく挑戦してきた4回転ループもしっかり成功させるものの、まだ不安要素が見られた。その一方でループ以外の4回転は安定感のあるジャンプを見せていた。

 3つ目の武器を手に入れつつある羽生はオリンピック本番会場の初練習で「楽しかったです。今大会に向けては、できる限りのことを順調 にやってきました。リンクも大きく、非常に滑りやすい温度で、氷の状態も非常に良かったです。何よりもいいコンディションの中で滑れることは幸せでした。いますべきことが何かを考えながらやってきました」と、気合の入った言葉を口にした。

 この2カ月の間は、特にここを重視したという練習はしてこなかったと言い、自らの心と身体の感覚を大事に取り組んできたそうで、公式練習では「とにかく楽しむことを意識しました。いま何がしたいのか、いまどういう風に感じているのかを大事にしてやりました」と、いまの自分のために努めて気負わないようにしているようだった。

 来年の五輪を控えたこの1、2年で、10代の若手が急成長を遂げ、つい昨季まではほとんどの選手がSP、フリーで2種類計3本の4回転を跳んでいた。それが、いまや羽生や宇野ら3種類計6本を跳ぶ選手が主流で、ジンやチェンのように4種類計7本の大技に挑む選手も現れた。今大会で跳ぶ予定のジャンプ構成表をみると、いまのところ、純粋に4回転の基礎点だけを足してみて得点の高い順に並ぶとどうなるだろうか。

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