■株価が高いから投資を始める人はカモ

角田:一つ注意点を挙げると、マスコミの報道や世論に踊らされるな、ということです。勉強や準備をしないで、相場の上がり下がりに合わせて動くというのが一番危ない。昨年11月のアメリカ大統領選も事前に偏った報道がかなり出たため、結果に驚いた人がほとんどでした。その直後にドル円は急落したのですが、トランプさんが打ち出している経済政策も意外に期待できそうだという空気が醸成されると、一気にドル円も急反発、高騰しました。初心者がその一連の動きを追いかけたら9割方損をしていたでしょう。

加谷:投資家に限らず、人間はその場その時の動きや評判にとらわれるものです。投資の判断も最初に冷静な状態で立てた見立てのほうが合っていることが多い。投資で勝てる人というのは、長めの期間で見立てを立てています。反対にダメな人は最初の見立てがあやふやで、ニュースやSNSなどのノイズにも邪魔される。すると、成績もグチャグチャになるのが目に見えているわけです。

角田:そういったノイズに振り回されないためにも、しっかりとした教養や知識を積み重ねることが必要だと思います。一番大事なことは時間をつくることです。行動する時間をつくれないと、本も読めないし、投資の勉強もトレードもできず、お金もつくれないということです。僕の場合はその解決手段が速読でした。

加谷:よく「時は金なり」と言いますが、その「時」は利息のことです。この意識を日常で持てるかどうかで大きな差がつく。よく「時間は平等」という言葉がポジティブに使われがちですが、1日24時間が平等ならば、それをどう使ったかでどれだけの差がつくのか、という意識をもつことが大事です。同じ1分1秒でも、深く考えずに過ごしている「預金思考」の人は、「投資思考」でお金を稼いでいる人よりも1000円ずつ損をしているかもしれません。

角田:お金持ちが一番お金を使うのは自己投資です。僕が投資を習った先生は、極貧時代にバイトで貯めた20万円の元手のうち17万円を授業料に使い、残りの3万円で実際のトレードを始めたそうです。僕自身も本や教材、コーチング、セミナーに当時としてはかなりのお金を投資し、その後徐々に回収していきました。ですから、もし自由になるお金があるなら、貯蓄よりも投資に限らず自己投資に回したほうがよいと思います。そして、世の中の流れが大きく変わったところで、いつでもスタートが切れる自分に鍛えておくのがいいと思います。銀行に預けても100万円は100万円のままですが、自分に投資すれば、その20倍が返ってくると言われていますから。新しい年になったからといって無理に株式投資をやらなくてもいいですが、少なくともお金は大切なものだと思うのであれば、お金の事を学ぶための自己投資はするべきだと思います。