勝ち星には恵まれていないものの“エース”の働きを見せている田中。(写真:Getty Images)
勝ち星には恵まれていないものの“エース”の働きを見せている田中。(写真:Getty Images)

 現地6月21日時点で投球回数92回2/3はアメリカン・リーグ10位──。そんな数字こそが、メジャー3年目を迎えた田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)の今季の活躍の価値を物語っている。

 17日のツインズ戦で4勝目をマークし、防御率2.91(リーグ7位)、WHIP1.00(同3位)はすべてトップクラスの成績。何より、14先発中8戦で7イニング以上を投げ、それでいてこれだけの数字を残していることに意味はある。

 試合数が多く、必然的に日程も厳しいメジャーでは、一定以上のイニングを投げる能力が先発の必須条件である。無失点に抑えたとしても、5~6回までしか投げられなければブルペンに余計な負担がかかってしまう。それを長期間に渡って繰り返せばリリーフ投手たちはパンクするし、他の先発投手たちに「自分が長いイニングを投げなければ」という重圧まで与えてしまう。

 チームの陣容にもよるが、必然的に力の劣る先発4~5番手は6イニング程度までをまとめるのが限界の場合が多い。それをカバーすべく、チームを勝利に導くだけでなく、コンスタントに長いイニングを投げることも“エース”と呼ばれる投手の仕事なのである。

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