そんな27歳の右腕をオールスター候補の一人に挙げる声すらある。ヤンキースでは他にもアンドリュー・ミラー(29回2/3で55奪三振、防御率1.21)、カルロス・ベルトラン(打率.283、18本塁打)、CC・サバシア(5勝4敗、防御率2.20)といった活躍している選手がいるため、現実的に選出される可能性は低いかもしれない。ただ、そういった声が出ること自体、4勝2敗という勝敗が示す以上に貢献度への評価が高いことの証明だろう。

 田中にとって今後に残る課題は、中4日の登板でこれまで以上の結果を出していくことだ。今季は中5日の6先発では防御率1.24、中4日では防御率4.70と、登板間隔によってパフォーマンスに少々差が出てしまっている。

「(先発投手に)より多くの休みを与えるために、ロースター全体を変えるのは簡単なことではない。できる範囲内でやっていかなければならないんだ」

 ジョー・ジラルディ監督のそんな言葉を聞くまでもなく、メジャーでは先発は中4日が基本線になる。このペースを可能な限り守り、試合を作り続けるというのも先発ピッチャーの必要条件である。

 開幕直後こそ痛打されるケースもあったが、6月1日のブルージェイズ戦では6回2失点(自責点は1)、6日のエンゼルス戦では7回2失点と、中4日での好投も増えてきた。あとは登板ごとのばらつきを減らすこと。中4日、中5日の投球の質の差が今後に解消されれば、渡米3年目にして、今季が田中のメジャーでのベストシーズンになる可能性も十分にありそうだ。

(文・杉浦大介)