その結果、カナダW杯は澤穂希も復帰し、右DFの有吉佐織とボランチの宇津木瑠美の2人以外は4年前と同じメンバーだった。この若返りについて佐々木監督は「W杯と五輪は連続セットが続く。五輪までがセットで、若い選手は3年後に入ってきて欲しい」と東アジアカップの中国戦後に語っていた。

 これはどういうことだろうか。男子の場合、五輪は23歳以下の大会で、開催年もW杯の2年後と間隔が空く。ところが、女子は年齢制限がなく、W杯の開催年に五輪予選が行われ、翌年が五輪と連続している。W杯と五輪は連続開催のため、同一チームで臨んだ方が好成績を収めやすいというわけだ。そこで佐々木監督も、若返りは五輪後の3年間で、次のW杯と五輪を目指した方がいいということになる。

 現在の"なでしこジャパン"で一番の問題点は、"ポスト宮間あや"だ。しかしながら、彼女のようなロングパスを出せる若手選手は誰もいない。このため、次世代の"なでしこジャパン"は、宮間のようなタイプを必要としないチーム作りが求められる。そこで2019年のフランスW杯と20年の東京五輪で好成績を収めるためには、一日も早く新チームをスタートさせる必要がある。しかし、現在の指揮官にその気はまるで感じられない。リオ五輪を自身の集大成と位置付けているようだ。

 このため、東京五輪でメダルを狙うのであれば、リオ五輪のアジア予選を突破したら監督の交代という思い切った策を日本サッカー協会には望みたい。リオ五輪で次世代の代表候補に経験を積ませるためでもある。実際、佐々木監督自身、代表監督に就任したのは08年1月のこと。前任者の大橋浩司監督が07年のW杯後、北京五輪予選を突破してから佐々木監督にバトンタッチした。阪口夢穂や永里(大儀見)優季らの新戦力を起用したのも大橋監督だった。

 そして、佐々木監督は08年の東アジアカップ優勝を契機に、北京五輪で初のベスト4進出を経て、その後の好成績を収めたのは記憶に新しい。その佐々木監督も、代表監督としてすでに7年が経過した。ここらで新しい風を入れる意味でも、昨年のU-17W杯で初優勝した"リトルなでしこ"の高倉麻子監督にバトンタッチすべきだろう。

(サッカージャーナリスト・六川亨)