●子ども本人の自主性に任せてはいけない理由がきちんとある
子どもを指して、「この子には才能がある」「もともと頭がいい」などという言い方をすることがあります。
大脳生理学者のなかには、人の能力のうち2、3割は、生まれ持った才能、つまり遺伝的能力が占めると主張する人もいます。
スポーツにおいては確かに体型など遺伝的能力の影響は大きいかもしれませんが、勉強においてはどうでしょうか。
私の教育者としての経験から思うに、その子の能力のうち遺伝的能力が占める割合は、限りなくゼロに近い。つまり、勉強ができる・できないは遺伝や才能ではなく、ほぼ100%環境、すなわち保護者の配慮によって決まると考えています。
勉強ができない子は、その子に生まれ持った能力がないからそうなったのではありません。育ってきた環境が悪かったから、できない子になってしまったのです。
環境が悪いというのは、具体的にいえば保護者に放置されてきたということです。どんな勉強の仕方をすればいいのかを教えてもらえずに、勉強に適した環境も与えられずに、野放しのままに育ってしまったら、どんな子でも勉強ができない子になります。
反対に、きちんとした環境を与えれば、勉強ができる子に育ちます。
環境を与えるといっても、机とイスを用意して、教科書や筆記用具を渡せばそれでいいわけではありません。保護者が範を垂れ、勉強の仕方を教え、やらせてみて、できているかどうかしっかりと管理する必要があります。