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台風にみまわれた『髑髏城』

文・中島かずき

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 今日(9/21)は、台風で関東地方も大荒れでした。
 午後4時ごろから、首都圏の電車も止まり始め、しばらくは帰宅に困る人が駅にあふれていたようです。
『髑髏城の七人』は今日は昼公演だけでした。終演が午後4時ごろ。まさに、台風が東京を通過している時間に重なってしまい心配だったのですが、みなさん無事に帰宅出来たでしょうか。夜になると、もう風も雨もやみ、電車も動き出したようですが。
 
 昨日は僕も劇場に行き、「そういえば、『アオドクロ』の時は台風が二回も直撃したね」といのうえひでのりと話してました。
 2004年の10月、この月も台風の当たり月でした。
 最初の台風の時、劇場が日生劇場だったので、皇居のお堀の水が劇場前の道路にまで溢れて日比谷線の駅に入ったりして大騒ぎでした。
 カーテンコールで市川染五郎さんが帰りの交通情報を読み上げたのですが、「まあ、こんなこともそうはないよね」と話していたら、その公演中にもう一度台風が来て、またカーテンコールで同じ事を繰り返すことに。
 そして今日もカーテンコールで、小栗旬くんが台風の状況を伝え「帰るまでが『髑髏城』です。みなさんお気をつけてお帰り下さい」と挨拶したとか。
 7年たって、まさか同じ事を繰り返そうとは。
 他の演目ではあまりこうした状況になった記憶がないのですが。
 たまたま『髑髏城』という演目が秋公演だったということだと思うのですが、これも不思議な巡り合わせですね。
 ただ、今回の『ワカドクロ』では、二回目はなしにしてほしいと思います。

 大水と言えば、劇場の周りが水で溢れて大変なことになった経験があります。
 大学時代、福岡でいのうえと組んで劇団をやっていた時のこと。
 当時は、公共のホールを借りて、一回限りの公演でした。
 8月30日、夏休みも終わりの時期、台風だったかなんだったかで前日の夜から当日の朝まで、凄い雨が降った。
 ちょっと低い所にあったのでしょうか。ホールの周りがすべて水で溢れてしまいました。
 車も水に浸かるので、途中から僕らが押して行った。
 ただ、ホールそのものは浸水したわけでもないので、公演は打てる。でも、こんな状況じゃお客さんがホールにたどり着けない。
 一ヶ月稽古して行うたった一回の公演です。お金がないから一日しかホールは借りてないので、伸ばすわけにはいきません。
 もうあとは、雨がやむように天に祈るしかない。
 水で溢れた周囲を見ながら、いのうえと「まるで秀吉に水攻めにあった高松城の気分だよなあ」なんて話してたのを覚えています。
午後から晴れてあれよあれよという間に水も引き、開演時間の18時くらいにはもう、午前中そんな状態だったとは思えないようないい天気になっていました。
 300人くらい入ったでしょうか。できるかどうかやきもきした分だけキャストもスタッフもテンションが上がったか、公演そのものもとても評判がよかったので安堵しました。その時やった公演が、「舞台でマンガや映画のようなことをやる」と決意した最初の作品、いわば新感線の作風につながる最初の作品だったので、なおのこと、思い出深いのです。
 
 いずれにしろ、今年は災害が目立ちます。
 今回の台風も、これ以上被害が大きくならないことを祈ります。


(更新 2011/9/22 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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