もう一つ気になったのが“ポジション”と“利き手”の偏りである。内野手は5人を選出しているが、サードの中川卓也(大阪桐蔭)以外は全員がショートが本職の選手である。ショートができれば、セカンドやファーストは簡単にこなせるだろうという考え方もあるかもしれないが、短期決戦では守備のミスが命取りとなるだけに、最低でもセカンドは本職の選手を1人は選ぶべきではないだろうか。

 攻撃面では、左打者偏重の打線が気がかりである。選ばれた10人の野手の内訳は左打者6人、右打者4人と大きな偏りはないように見える。しかし、投手登録ながら野手も兼任する野尻幸輝(木更津総合)と板川佳矢(横浜)も左打者であり、大学ジャパンとの壮行試合では3番から7番までが左バッターが並んだ。実際に、この試合では大学ジャパン先発のサウスポー田中誠也(立教大)に翻弄されるシーンが目立った。左右のバランスを考えすぎるのも問題だが、他にも力のある右打者がいないわけではないため、少し疑問が残るメンバーという印象だ。

 そして、最大の問題点は、地方大会、甲子園大会のわずか1カ月の間に1517球もの球数を投じた吉田輝星を選出した点であろう。国際大会の舞台で、レベルの高い選手とプレーできるということは大きなメリットであることは間違いない。だが、決勝戦では自ら続投が不可能と判断したほどの疲労がこのわずかな期間に完全に回復するとは考えづらい。実力的に申し分なく、本人が出場に対して意欲を示していたとしても、将来を考えれば指導者がストップをかけるべきであろう。

 以上のことを総合して、今回選考されなかった選手の中で選ぶべきだった選手をポジションごとにピックアップしてみた。野手に関しては前述した通り不足しているセカンド、右打者を中心としている。また、新チームの公式戦への影響を考えて、全員3年生のみでの選出とした。

■投手
衛藤慎也(聖光学院・右投右打)
石井峻太(国士舘・左投左打)
勝又温史(日大鶴ケ丘・右投左打)
矢澤宏太(藤嶺藤沢・左投左打)
垣越建伸(山梨学院・左投左打)
直江大輔(松商学園・右投右打)
田中法彦(菰野・右投右打)
小寺智也(龍谷大平安・右投右打)
羽田野温生(汎愛・右投右打)
橋本達弥(長田・右投右打)
引地秀一郎(倉敷商・右投右打)
河浦圭佑(小倉・右投右打)
戸郷翔征(聖心ウルスラ・右投右打)
松本晴(樟南・左投左打)
宜保翔(未来沖縄・右投左打)

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吉田輝星がいなくとも本格派右腕は豊富