東京商工リサーチの調査によると、国内銀行91行の2018年3月期の平均年間給与(基本給与+賞与・基準外賃金、以下平均給与)は609万円(中央値612万4000円)だった。前年の614万9000円(同620万1000円)から5万9000円減少(0.9%減)し、2年連続で前年を下回った。
平均給与のトップは、5年連続で三井住友銀行(810万5000円)だったが、前年より4万3000円減少(0.5%減)した。2位はスルガ銀行(800万8000円)で前年3位からアップ、3位は東京スター銀行(796万4000円)と、トップ3の顔ぶれは4年連続で同じだった。
今回、3位から一つ順位を上げたスルガ銀行は現在、シェアハウスへの不正融資問題で揺れている。静岡県沼津市に本社があるスルガ銀行は、銀行業界では高い収益力を持つことで知られ、森信親・前金融庁長官は「地銀のお手本」と絶賛していた。だが、融資の過程で預金額を水増しした通帳で審査が行われ、書類改ざんには行員が関与していた可能性も指摘されている。
東京商工リサーチ情報本部情報部の原田三寛部長は言う。
「スルガ銀行は個人融資が多く、住宅ローンを除く個人融資は1兆円ありました。そのうちシェアハウス向けの融資は総額で2000億円、借り手は1200人以上いたと発表しています。法人に比べて利率の高い個人融資が高収益の理由だったのですが、不正融資が発覚したことで、行員の給与を含む経営への影響が懸念されます」
スルガ銀行は、役員報酬も高い。6月29日に提出された18年3月期の有価証券報告書によると、岡野光喜会長の報酬額は1億9700万円、米山明弘社長が1億6800万円。16年7月に死去した岡野喜之助元副社長は、退職慰労金も含めて5億6500万円支払われていた。
「8月末には第三者委員会による調査報告が発表される予定になっています。不正融資には多くの行員が関わっていたことから、役員報酬の大幅削減が実施される可能性もあります」(前出の原田氏)