大学生は希望する企業で働きたい。企業は優秀な人材を採用したい。売り手市場と言われる今日にあっても、大学生にすれば自分をどうアピールしたらいいかでずいぶん頭を悩ませる。企業側もどう人材を見極めたらいいかで苦労している。「大学ランキング2019年版」(朝日新聞出版)では、2017年卒業生の人気企業への就職者数ランキングを掲載している。そのなかから、メーカー、輸送、旅行分野の人気企業就職者数の上位校をみてみよう。
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大阪大がパナソニック、トヨタ自動車で1位となった。
パナソニックは関西の企業なので、毎年、大阪大の工学部、基礎工学部から優秀なエンジニアを採用する(16年も59人で1位)など、もともと両者の絆は強く、産学連携で人材交流、情報交換が盛んに行われていた。
17年には、大阪大とパナソニックとで人工知能共同講座をスタートしている。パナソニック社長の津賀一宏は基礎工学部出身。同社の技術を支えているのは大阪大閥なのかもしれない。
トヨタ自動車就職者は2016年、地元の名古屋大が1位だったが(47人、2位は大阪大38人)、17年は大阪大がトップの座を奪った。
大阪大はホームページでトヨタ自動車の「プリウス」開発担当のエンジニア・豊島浩二さん(1985年入社)を紹介している。トヨタの大阪大出身者で組織される同窓会「阪大会」幹事長でもある彼は、次のように話す。
「僕が入社した時はトヨタ自動車で大阪大学出身者は300人ぐらいだったのが、今では1000人以上、互いに顔を知らない人が増えました。いちょうのマークを付けていると、すれ違った時に阪大の卒業生だと一目でわかり、コミュニケーションがとれて仕事がスムーズに進みやすくなります」
いちょうのマークとは大阪大のシンボルである。ネームプレートに出身校をアピールするほど「阪大愛」が強い。大阪大の結束力を感じさせる。