音楽ではなく国語の教科書に!とこだわりを持つアンゴラ村長。その気になる曲中の歌詞には、

「プラネタリウム ナトリウム」「貼り絵 はりきる ハリネズミ」「カニの甲羅で バタフライ」など、村長が大好きだという言葉が埋め込まれている。

「私と(スーパー)3助さんの間で、言葉遊びみたいのが流行っていて、お互いに好きな言葉とかを言い合っているんですよ。その時の、作業がそのまま歌詞作りになった感じですかね。歌詞中の『襖を開ければ半ライス』っていう部分も、襖を開けたらお母さんかもしれないじゃないですか。なのに、半ライスなのかい!っていう裏切りというか、遊びというか。色んな想像が出来るんですよ。それを皆で楽しんでほしいんです」

 熱く語る村長の傍らで、それまで静かに頷いていた3助さんがようやく口を開ける。

「そうなんですよ、だから『君のことがレム睡眠よりもすき』っていうところなんか、すごくないですか? 好きの度合いを睡眠で例えるなんて、ねぇ、『レム』って深いってことですよね、あれ、『ノンレム睡眠』のことだよね村長? 『ノン』は、『ノン』だから、浅いでしょ。だから、『レム』は深いんですよ!」

 突如の3助さんのテンションに記者は茫然。

「うん、そうだね」

 村長はいたってクールに相槌を打っていた。

 そんな2人の愛くるしいやり取りを横で、聞き耳を立てクスクスと笑っているのが、今回の主役のトコロダニアミさんだ。彼女は、インディーズ時代はメッセージ性のある曲を歌っていただけに、アンゴラ村長の作った歌詞に衝撃を受けたという。

「初めて見たとき、他にはない歌だと思いました、一つ一つの言葉が個性豊かで強調されているんです。衝撃的でした。私にとっては、すごい挑戦でした」

 衝撃なのは、なんとトコロダニさんがこの曲を歌い上げたスピードである。

「実は、依頼してくれた事務所から渡された曲を翌日には歌って送り返さないとけなかったんですよ。だから、初めて聴いた歌をしかも、村長さんの作った衝撃的な歌詞を、一晩で歌い上げました」

 メッセージ性のある曲を歌っていた彼女にとっては、初めて見る言葉の一つ一つが新鮮であり、刺激的だった。そんな未知の土壌を自分が持っている桑で精一杯開拓した。その結果、翌日に送り返した歌を聞いた事務所関係者から「これで行こう」とGOサインが出て採用となったという。

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またも、突如3助さんに火が付く…