「good vibrations」が収録されているTHE BEACH BOYSの『SMILE』
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大友博(おおともひろし)1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など
大友博(おおともひろし)1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など

 どんな歴史にも転換点があるように、ロック史にとって1966年は大きな意味を持っている。その理由について音楽ライターの大友博さんが語る。

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 このWEB連載を担当するようになってから、ずっと昔に買った本を読み直してみたり、あるいは、いくつかの関連サイトをチェックしたりして、あらためて強く思うようになったのは、「ロック史、ロック文化にとって、1966年はとてつもなく大きな意味を持つ年だったのだな」ということだ。

 たとえば、ボブ・ディランは2枚組の大作『ブロンド・オン・ブロンド』を発表し、伝説のロイヤル・アルバート・ホール公演を含むワールド・ツアーで同世代のアーティストたちに強烈な刺激を与えた。

 ロンドン滞在中、彼とギタリストのロビー・ロバートソンたちはビートルズのメンバー4人から、やはり66年を象徴する事件の一つ、名盤『リヴォルヴァー』のテスト盤を聞かされている。ローリング・ストーンズは、はじめて全曲をジャガー/リチャーズのオリジナルで固めたアルバム『アフターマス』で大きな前進のあとをみせた。クリームとバッファーロー・スプリングフィールドなど、新しいタイプのバンドがつぎつぎと登場(このころから、典型的な複数形のバンド名が一気に少なくなっていく)。そして年末には、米国西海岸シアトル出身のジミ・ヘンドリックスが、どこからともなく突然といった印象で、ロンドンの街に現れている。

 今回のコラムのテーマは、その1966年を彩ったさまざまな出来事のなかでも、録音形態、創作スタイル、バンドの概念といった面ではとりわけ大きな意味を持つものと思われる、ビーチ・ボーイズの「グッド・ヴァイブレイションズ」。

 正式な形ではアルバムに収められず、1966年10月にシングルとして発売され、全米チャート1位まで上昇することになるこの曲の制作がロサンゼルスのスタジオで開始されたのは、1966年の2月17日だったといわれている。

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