2010年度に194億円の黒字だったのに、翌11年度は3760億円の赤字に転落した。たった1年で約4千億円の利益がふっとんだ----これが、現在のシャープの姿だ。
なぜシャープは突然、業績が悪化したのか。いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は、こう分析する。
「大型の高級テレビを求める消費者が減り、スマートフォンで遊ぶ時間が増えた若者を中心に、テレビを見なくなった。さらに、韓国勢が安い商品を大量に供給し、価格競争が激化した」
つまり、消費者の志向が激変したというわけだ。
東京商工リサーチ情報本部の友田信男部長は、
「シャープには、過去の大きな成功体験があった。だから、変化に気づけなかったのではないか」とみる。
とはいえ、それだけで、ここまでの業績悪化が起きたわけではない。
前出の秋野氏が続ける。
「亀山(三重県)と堺の液晶パネル工場に、巨額の設備投資(約8千億円)を投じたため、多額な負債を抱えたのが致命傷になった」
※週刊朝日 2012年9月14日号