ピンポイントの補強という意味では、2位・柏のそれはさらに確実性が高い。FWドゥドゥの選手登録を抹消し、C大阪や松本山雅などでのプレー経験があるキム・ボギョンを全北現代(韓国)から獲得。ここまでGK中村航輔を中心とした堅実な守備と鋭いサイドアタックを武器に勝負強さを見せている柏だが、優勝を目指すならば現状の得点力では不安がある。その点ではキム・ボギョンには正確なミドルシュートなどのゴールとともに、現在リーグ7得点を挙げているクリスティアーノらの得点機を増やすチャンスメーク面に期待がかかる。
最下位に沈む新潟はJ2の名古屋からDF大武峻、メキシコ2部のカフェタレロスからFWドウグラス・タンキを獲得したが、残留圏の15位・札幌との勝ち点7差を埋めるには心もとない。呂比須ワグナー新監督の意識改革もなかなか成果をあげずにチームは5連敗中。ここから巻き返すには現有戦力の奮起も必須だが、他チームとの得失点差も大きく差があるだけに、さらなる戦力面のてこ入れが必要かもしれない。
中位に付けているものの、深刻な得点力不足に苦しむ神戸はすでに加入が内定していた元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキがようやくチームに合流する。その実力もさることながら、プロとしての立ち居振る舞いも尊敬されるレジェンドのプレーには神戸のサポーターならずとも注目しているだろう。それに加えて、まだ正式発表はされていないものの、オランダのデン・ハーグ退団が濃厚とされるFWハーフナー・マイク獲得が間近と伝えられる。もしこれが実現すれば、いきなり神戸はJ1屈指のアタッカー陣を擁することになる。
14位の甲府に加入した新外国籍選手のFWジュニオール・バホスは長身ながら機動力が高く、高いシュート意識でゴールを狙えるストライカー。24歳と年齢的にも主力として活躍しながら、さらなる成長も期待できる選手で、ここまで堅い守備を誇る一方でリーグ最少の10得点にとどまるチームを飛躍させる存在になるかもしれない。
現時点で具体的な移籍、もしくは獲得発表のないチームも噂レベルではさまざまなニュースが飛び交っているだけに、優勝戦線をにらむ上位チーム、残留圏に浮上したい下位チームなどに、これから具体的な動きが見られるかもしれない。今後の移籍マーケットの動向に注目だ。(文・河治良幸)