また、拠点としているフロリダで調整してきたようだが、大会直前の谷原とともに回った練習ラウンドでは、ショットに対して不満気な表情。悲願のメジャー制覇に向け不安をのぞかせていたのが気になるところだ。それでも「去年に比べたら(状態は)落ち着いています。(オーガスタに来てから調子は)少しずつ良くなったと思います」と語っており、ピークを大会当日に合わせるという点で頼もしい発言を聞けたことはプラス材料だ。

 では、松山がマスターズで日本人悲願の優勝を成し遂げるための条件は、どのようなものなのだろうか。それはズバリ、初日に60台を出してトップ10スタートを切ることだろう。上位につければ優勝に近づくことは当たり前といえばそうなのだが、近年のマスターズにおいてはさらにそれが顕著になっている。ちなみに2010年以降、優勝者の初日の順位は下記の通りだ。

2010年 フィル・ミケルソン 2位タイ(67)
2011年 シャール・シュワルツェル 7位タイ(69)
2012年 バッバ・ワトソン 4位タイ(69)
2013年 アダム・スコット 10位タイ(69)
2014年 バッバ・ワトソン 2位タイ(69)
2015年 ジョーダン・スピース 首位(64)
2016年 ダニー・ウィレット 9位タイ(70)
*カッコ内はスコア

 昨年のウィレットの70を除けば、全員が60台をマークしてトップ10以内で初日を終えているのだ。そして、これが6回目のマスターズ出場となる松山のこれまでの初日の成績だが、下記のようにこれまで60台を出したこともなければトップ10スタートを切ったこともない。

2011年 31位タイ(72) 最終27位タイ
2012年 14位タイ(71) 最終54位タイ
2013年 不参加
2014年 90位タイ(80) 予選落ち
2015年 18位タイ(71) 最終5位
2016年 13位タイ(71) 最終7位タイ

 つまり初日をどのようにプレーするかが、グリーンジャケット獲得への課題となる。木曜日に3アンダー以上をマークして、本人の中に「行ける」という気持ちが出てくれば……。

 今年のオーガスタは、松山の初日の「入り」に注目したい。(文・田村一人)

[AERA最新号はこちら]