大学野球の「地方の時代」が始まったのは昭和から平成に元号がちょうど変わった頃。先鞭をつけたのは東北福祉大(仙台六大学)だった。東北福祉大は1987年からの5年間で4度も大学選手権のファイナリストとなり、佐々木主浩、斎藤隆、金本知憲といった名選手を相次いで輩出した。その後は日本文理大(九州地区)、富士大(北東北)、上武大(関甲新)といった地方の小規模校がしばしば決勝に残っている。

 今秋のドラフトで目玉とされる156キロ右腕・田中正義(創価大)は東京新の所属。地方ではないが、六大学や東都に比べると地味な連盟だ。

 こういった新興勢力は総じて学校の規模が小さい。中京学院大の学生数は4学年で950名ほど。ベスト4に残った奈良学園大の学生数も500人台(2014年5月時点)だ。3万、4万の学生が在学する総合大学はもちろん、高校よりも規模が小さい。野球部の存在は単なる宣伝ではなく、学生集めの直接的な手段だ。中京学院大の部員数は137名。約7人に1人が野球部員という計算になる。

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