この膠着を破ったのは、レアルのベイルだった。一騎当千といった風のドリブルで守備陣をかき乱す。先制点は15分だった。ベイルが左サイドでファウルを受けて得たFK、自らニアで待ち受けてバックヘッドで方向を変え、そこにセルヒオ・ラモスが飛び込んで合わせた。疾走し、跳躍する、ベイルの肉体的躍動には威風が漂い、美しくさえあった。
失点を許したアトレティコは、後半から4-1-4-1にシステムを変更。サイドからの攻撃力で守備全体を撓ませる。始まってまもなく、アントワーヌ・グリーズマンが斜めに入れたボールがエリア内のフェルナンド・トーレスに収まり、後方からぺぺに倒される形になった。これにPKの判定が与えられたが、グリーズマンのシュートはクロスバーの下を直撃してしまう。
しかし、なおもアトレティコは抉るような攻撃をやめない。79分、右サイドのファンフランがダイレクトで折り返したクロスに、ファーサイドから入ったヤニック・カラスコが押し込んで同点。その後もカラスコがレアルの右サイドを蹂躙し、戦術的には終始、優勢に試合を進めた。ただ、同点ゴールに力を使い尽くしたのか、延長戦に入って消耗の色を濃くしていった。
そして120分を戦ってのスコアは1-1のまま。決着はPKに委ねられ、5-3でレアルが凱歌をあげた。