レアルを11度目の欧州制覇に導いたジダン監督。(写真:Getty Images)
レアルを11度目の欧州制覇に導いたジダン監督。(写真:Getty Images)

「監督の職を与えてもらったとき、タイトルを夢見ました。私は楽観的な人間で、相応の才能を持った選手たちがいたからです。選手たちは死力を尽くし、それに値する勲章を手にしました」

 レアル・マドリーのジネディーヌ・ジダン監督は、そう言ってチームにとって11度目となる欧州制覇を喜んだ。ジダンは選手時代にもレアルで欧州王者に輝いており、偉業を遂げたことになる。今年1月、ラファ・ベニテスに代わって監督に就任したばかりの頃、チームは暗く沈んでいただけに、フランス人監督の果たした役割は大きい。

 では、ジダンはなにをやってのけたのだろうか?

 現地5月28日、ミラノ。レアル・マドリーとアトレティコ・マドリーがチャンピオンズリーグ決勝で相まみえている。スペインの首都、マドリーに本拠地を置くクラブ同士の戦いとなった。

 ジダンの打つ手は単純明快だったと言える。カジミーロを最終ラインの前に置いたTAPON(ふた)という戦術策で、中央からの攻撃は退ける。その上で、BBC(ベイル、ベンゼマ、C・ロナウド)の一発にかけた。一方、アトレティコのディエゴ・シメオネ監督は4-4-2の布陣で中央を避け、サイドから崩す攻撃を試みるが、敵陣でプレスをはめ込めず、攻撃は単発に終わる。

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