消費税が5%から8%に増税される4月1日まで残りわずか。増税を控えた時期にも関わらず、個人消費は依然底堅い。2013年10月から12月期の実質GDP増加率は、当初の予想の約半分ほどの数字である年率1%程度にとどまった。駆け込み消費による経済効果は、アベノミクスによる経済政策を掲げた政府の予想や、消費税が3%から5%に増税した1997年の個人消費も下回っている。

 消費全般が鈍い動きを見せるなか、唯一個人消費を押し上げたのが、自動車と住宅などの高級商材。住宅は前期比4.2%増を記録し、自動車をはじめとする個人消費は、GDPを5期連続のプラスとなる0.5%増に押し上げた。自動車メーカー各社は、販売増を見越し1月から3月期は工場をフル生産で稼動。貨物の取り扱い増を見込んだJR貨物は、コンテナ貨物列車を大幅に増発すると発表した。

 高額商材の売れ行き増の背景には、消費増税やアベノミクス以外の理由も存在する。持ち家やマンションの販売好調は、2015年に控える相続税の大幅増税を見越しての動き。現在の最高税率は50%だが、相続税は来年1月1日から55%に改正される。基礎控除額が約4割少なくなる影響で、東京近郊の課税対象者は2倍以上に増えるとされている。また、住宅ローンが所得税から10年間控除される「住宅ローン減税」も追い風となった。不動産経済研究所が発表した1月の首都圏のマンション販売は、前年同月と比べて6.1%増。特に、耐震性・防災設備に優れ、環境面にも配慮した新築マンションに人気が集まっている。

 不動産、都市計画の研究を専門とする読売広告社都市生活研究所の榎本元(はじめ)所長は、「家族形態の変化により、従来の2世帯住宅(親夫婦+子ども夫婦)に加え単身の子も居住できる2世帯を超えた住宅や近居をテーマとした住宅が登場するなど、住宅消費の形態も多様化している。マンションでは『創エネ・畜エネ』やスマートグリッド化に対応した物件の分譲、既存物件を再活用したリノベーションも盛ん」と住宅消費のトレンドについて説明する。

 また、売り上げ好調な自動車を牽引しているのは、軽自動車の販売。2月7日に閣議決定した「地方税法改正案」に基づき、来年4月以降に購入する軽自動車への課税が1.5倍の1万800円となることも、消費者心理に影響したとされる。高級自動車の中でも、比較的小柄で買い求めやすいエントリーモデルのレクサスCTなどの車種も、増税前に売上を伸ばしている。

 増税まであと1ヶ月。高級商材の「駆け込み商戦」のラストスパートがはじまる。

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