大手金融・商社で次々と理系社長が登場(AERA 2020年3月23日号より)
大手金融・商社で次々と理系社長が登場(AERA 2020年3月23日号より)
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 かつて「文系職」とされていた銀行において、理系人材の採用が増えている。トップ人事でも金融業界だけではなく総合商社でも理系出身の登用が目立つ。AERA2020年3月23日号では「数学必須の時代」を特集した。

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 採用や職場においても、数学やデジタルの素養のある人材のニーズが高まっている。

 経済産業省「産業振興に寄与する理工系人材の需給実態等調査」によると、2019年度の企業の採用予定人数は、17年度より7.7%減少した。だが、「AI(人工知能)・機械学習系」2.25倍、「統計・高性能計算系」1.91倍、「数学」1.69倍など、AIやIT、デジタルに関連する分野では、採用予定人数を大幅に増やしている。

 いわゆる「理系職」の需要が増えただけではない。かつて「文系職」とされてきた業界においても、AIやデジタル人材が積極的に採用されている。代表的なのが、金融業界だ。

 みずほフィナンシャルグループ(FG)は、17年度ごろから総合職における理系の採用枠を拡大、17年度に9.3%だった理系比率は、20年度採用では15.1%と、1.6倍以上となった。20年度採用では、採用担当者は18年度の5倍にあたる90の理系研究室を訪問したほか、理系学生を対象としたインターンシップも、19年度の約140人から300人に拡大した。

「AIやデジタル技術の活用、ビッグデータ解析による高度な市場分析といったより質の高いビジネスやソリューション提供を実現するため、統計学などの素養のある理系人材を積極的に採用しています」(みずほFG広報室)

 三井住友銀行では、19年度採用から、理系の大学院生を対象とした「クオンツコース」と「デジタライゼーションコース」を新設した。

「新しい金融ビジネスを創りだすために、高度な数理的素養を持ち、銀行のデジタル化やイノベーションをリードする人材を確保するのが目的です」(三井住友銀行広報部)

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