昭和の少年を熱狂させたキン肉マン。その誕生から40年余り過ぎた現在も、根強い人気を誇る。ネットなどでは「今が全盛期」とする評価も見られる。その魅力を探ってみた。
キン肉マンことキン肉スグルはキン肉星出身の王子として生まれたが、ブタと間違われ地球に捨てられてしまう。最初は「ダメ超人」扱いを受けながらも、数々のライバル超人との闘いを経て、友情を育みながら、「正義超人」として成長していく。
「週刊少年ジャンプ」で1979年春に連載がスタート。プロレス格闘技をベースにしたマンガで、キン肉マンと同じ正義超人や悪魔超人、完璧超人など個性的な超人が次々登場し、当時のジャンプの人気作品になった。テレビアニメも人気を博し、超人を模した消しゴム、通称「キンケシ」は社会現象になるほどのブームを巻き起こした。
少年ジャンプの連載は1987年に終了、スグルの息子キン肉万太郎を主人公にした「キン肉マンII世」などの作品をはさみ、2011年にウェブコミックとして連載が復活。ストーリーはジャンプの最終回続編というかたちでスタート。“続編”として新シリーズの最初のコミックスも「38巻」として刊行された。
最新コミックス70巻も発売され、なお盛り上がる現シリーズのキン肉マン。40周年イヤーとなる昨春から、さまざまなイベントや企画があった。
お笑い評論家のラリー遠田さん(好きな超人=ラーメンマン、好きな技=ナパーム・ストレッチ)に、今なお続く人気の理由をたずねた。
「ギャグセンスの鋭さ、格闘シーンの迫力、設定の矛盾や強引な展開など、この作品しかもっていない独得の魅力があります。それが時を経てもファンの心に深く刻まれている理由だと思います」
現在のキン肉マンは、当時熱狂した世代だけでなく、若いファンの心にも響いているようだ。彼らのニーズに合う理由について、ラリーさんはこう語る。
「現代のプロレス界は女性ファンも増え、技や演出も進化して、昔とは違った盛り上がりを見せている。そもそもプロレスのイメージをまとった作品だけに、現代の流行が取り入れられていることが時代遅れにならない理由のひとつだと思います」
さらに、
「最近の少年マンガでは、バトル系のマンガであっても、バトル以外の心理描写や物語を進めるための描写にもある程度のボリュームが割かれていることが普通ですが、『キン肉マン』の場合は戦っているということに特化している。早いストーリー展開の中でとにかく登場人物が戦っている。それが今どきのマンガとしては珍しい。『とにかく戦っているところを見たい』という層の潜在的なニーズも満たしているのでは」