投手では、選抜の花巻東戦で9回までノーヒットの快投を見せた増居翔太(彦根東→慶応大)の成長が著しい。高校時代から130キロ台でも空振りのとれる回転の良いストレートが持ち味だったが、現在では140キロ台中盤までスピードアップし、ピッチングに凄みが出てきた。豊富な投手陣を抱えるチームだけにリリーフでの起用が続いているが、春秋ともに6試合(計15回1/3イニング)に登板して、自責点わずか1というのは見事である。

 その増居に選抜で敗れた慶応高校出身の選手では、三塁手の下山悠介(慶応大)が昨年秋に打率.349をマークしてベストナインに輝いた。上背はそれほどないが、体つきが見るからに立派になり、逆方向にも強い打球を放つバッティングが持ち味。昨年秋は2番を打つことが多かったが、今年からは中軸を任されることになりそうだ。また慶応高校でエースだった生井惇己(慶応大)もリーグ戦での登板はまだ少ないが、増居と同様にスピードアップを果たしており、今年はリーグ戦初勝利の期待もかかる。

 一方の東都大学リーグでは、3年春に東海大相模の主砲としてベスト4進出に貢献した森下翔太(中央大)と、龍谷大平安のリードオフマンとして活躍した松本歩(東洋大)の二人が今のところ出世頭だ。森下は春にいきなり2本塁打を放ってベストナインに輝くと、リーグ戦後には大学日本代表にも選出された。フルスイングから放つ打球の速さは大学球界でもトップクラス。秋は少し調子を落として明治神宮大会でもベンチから外れただけに、この春は復調に期待したい。松本は春の開幕時点では9番だったものの、ヒットを量産してシーズン途中からは1番に定着。ベストナインは逃したものの新人王を受賞した。秋も少し打率を落としたものの、スピード溢れる攻守を見せてベストナインに輝いている。2シーズンでの安打数は森下を上回る29本をマークしており、順調にいけば通算100安打も十分に射程圏内に入ってくるだろう。

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社会人でも存在感を示す“根尾世代”