野田政権が3月30日、国会に提出した消費増税法案。改正案では、生命保険の非課税限度額が縮小される。法定相続人であれば無条件に適用された非課税枠から、独立している子どもなどが外れるのだ。マックス総合税理士法人の武石竜税理士はこう指摘する。
「親は贈与税の基礎控除である110万円の範囲内で毎年、子に贈与して、子はそのお金で生命保険に加入します。被保険者は親、受取人を子にするのがポイントです。この契約形態で親が死亡すると、保険金は相続財産にならず、子の一時所得として課税されます。親が保険金を支払うケースでは保険金が相続財産になり、一部非課税となるメリットはありますが、一時所得の実効税率は非常に低いため、相続財産の額によっては、この方が節税になることがあるのです」
KS&パートナーズの清水謙一税理士も同調する。
「生前贈与に対して消極的な親も、生命保険の保険料なら基本的には満期となるか保険契約上の保険事故が発生するまで子が自由に使えないので、心理的な抵抗感が少なくて済みます」
相続は人生の締めくくり。元気なうちから先回りして準備したいものだ。
※週刊朝日 2012年4月20日号