そんなゆりやんさんに岡部さんはある提案をした。
「ゆりやんは運動ができるんだから、フィットネスの分野でも活躍できる、今までにない女芸人を目指そう!」
この言葉がゆりやんさんの胸に強く突き刺さる。
「太ってる女芸人さんはたくさんいて、渡辺直美さんのように太っているという次元を超えて輝いている人もいます。私は私で、好きな運動を生かしてステップアップしたい。初めて自分のためにやせたいと思った」
今年1~4月、ゆりやんさんはアメリカ・ロサンゼルスでの短期留学を予定していた。毎月一時帰国し、集中して仕事を行うが、渡米中は仕事や会食から距離を置ける絶好の機会になる。
「現地でもジムに通い、食事の質や量を管理するようになりました。たまにマシュマロバーとか食べて呆れられましたけど(笑)」
ところが、コロナ禍で4月の渡米が中止となり、自宅での生活を余儀なくされる。しかし、逆にゆりやんさんにとって追い風となる。岡部さんのジムも休業していたが、トレーニング用品をそろえて“家ジム”を作り、オンラインでトレーニングを受けた。食事についても、時間はたくさんあったため、自炊にも挑戦。
「家をジムにするなど環境を整備して、オンライントレーニングがない日は、今までやったトレーニングを自分ひとりでやりました。また、早寝早起きし、食事もちゃんと作るようになったんです」
このとき初めて、体に必要な栄養素や食事の量、毎食何を食べるべきかを真剣に考えるようになったという。岡部さんはゆりやんさんの変化をこう振り返る。
「彼女は『好きなものが一生食べられない恐怖があり、体重や食べ物のことばかり考えてしまう』と言っていましたが、それは無理に頑張りすぎているから。食事の知識を正しく学べば、我慢ではなく、体に悪いものをとりたくないという感覚になるはず。彼女はそれが自粛中にできるようになりました」
ゆりやんさんは一気にやせた印象があるが、決してそうではない。もともと筋肉量が多い体質で、筋肉より比重が軽い脂肪が減っても、数字には表れにくい。そのため、いくら頑張っていても、体重を1キロ減らすだけでもかなりの時間を要した。数字に結果が表れにくい分、くじけそうになるときもあったという。