近ごろ、金融業界の関係者だけでなく、個人投資家までもが注目するブログがあるという。それは、『日刊闇株新聞』。昨年公になった、オリンパスの損失隠し事件でも経済界の裏事情を次々と暴露。サイト運営者の正体は不明だが、業界内では「知る人ぞ知る」存在だという。彼をX氏と呼ぶことにしよう。

 X氏は、「財務省は増税のため、意図的に国民の危機感をあおっている」「日本はギリシャではない。すぐに財政が破たんすることはない」という。国民に対して、財務省のシナリオに「騙されるな」と警告する。

 消費税増税は不況を呼ぶ危険があるとし、その前にやらねばならない策の一つに、銀行に「不労所得税」を課すことを提案している。

 超低金利の現在、預金者への利息は0.03%ほど。一方、銀行が国債を買うと10年債なら1%弱の利息が得られる。預金には年利0.084%の保険料がかかるが、国債には企業への貸し付けと違い与信審査が必要なく、人件費を含むコストは非常に低いという。

 例えて言うと、3円(預金金利0.03%)で仕入れたもの(預金)に8円の保険をかけて、100円(10年国債の金利1%として)で売っているようなもの。銀行は国債金利の大半を預金者から"ピンハネ"している構図になる。「この『不労所得』こそ、課税対象にふさわしい」とX氏はいう。

 また、預金と貸付金の差額(=遊休資産)に課税することも一つのアイデアだと話す。遊休資産の額は2008年12月末から2011年12月末までの3年間で52兆円増加。「消費税10%が実施される3年後には、このペースなら『遊休資産』はもう50兆円増えて200兆円を超え、日本経済へのマイナスは計り知れない」(X氏)。ここに仮に5%の税をかけると、増加分が50兆円なら2.5兆円の税収となり、消費税1%程度は賄える計算になるのだという。

 大手銀行は過去の不良債権処理で多額の繰り越し欠損金を抱え、最近はほとんど法人税を払っていない。「昨年3月期に三菱東京UFJ銀行が10年ぶりに法人税を納めたが、3メガバンクでは三井住友銀行、みずほ銀行がまだ納税を再開していない」とX氏。

「政府・財務省の言い分を鵜呑みにすると、この国は大変なことになる」

 X氏はこう締めくくった。

※週刊朝日 2012年1月27日号