議連に所属する三谷英弘衆院議員は「養育費の確保と親への面会、両方が必要だ」と訴える。

「子どもにとって必要なのは、成長できる環境。お金だけあれば子どもは育つわけではなく、愛情をもらう機会も不可欠です。物理的な面と精神的な面がそろって、初めて成長できる環境が整うのです。そのため、金銭面だけでなく、子どもが親にアクセスする環境を整えていくことも我々の使命です」

 三谷氏は子どもの親権をめぐるトラブルについて、「両者が交渉を進めるうえで、対等な関係にないことは問題だ」と指摘する。

「連れ去って育てている側が、絶対的に優位な側にいる。子どもを育てている側からすると、譲歩する必要性がないのです。一方、引き離された側は、何とか下手に出て、会いたいと乞うしかない。ひとたび子どもを取られ、会うのを拒否されれば、会うための手段がないのです」

 こうした状況になれば、子どもとの面会交流にも影響を及ぼすことになる。三谷氏は「夫婦間のいざこざで、不利益を被るのは子どもです」と強調する。

「面会を拒まれれば、自分のルーツや、愛情を注がれる機会を断ち切られてしまう。離婚した親からしたら、過去を忘れたいというのが本音だと思いますが、子どもがいる以上、過去は清算できません。子どもの利益を最大化していくことが大事なので、別れてもお互いが父親であり母親なのだという意識が広がってほしいです」

 では、こうした実態を国はどう捉えているのか。

 集団訴訟について見解を問うと、法務省の担当者は「(今回の訴訟については)厳正に対処する。国として立証すべきことを果たしていく」とし、それ以上のコメントは控えた。だが「あくまでも一般論だが」と前置きしつつ、こう続けた。

「法律に不備があるとはとらえていない。離婚前後に取る手続きは、現行法でも十分に対処できる内容。その法律をどう運用するかは裁判所の判断になるが、制度がないというのは誤解」

次のページ
法務省は「批判は認識している」