野田佳彦前首相が衆議院解散を宣言した昨年11月中旬に9千円台だった日経平均。自民党が総選挙で圧勝してから1カ月で一気に1万800円台まで上昇した。今年最初の取引日、1月4日の「大発会」でも約300円高の急発進となり、東日本大震災前の水準を回復した。

 これまで日本株に見向きもしなかった外国人投資家たちが、相場の上昇を牽引して「安倍バブル」の兆しを見せているのだ。

 この「安倍バブル」を乗りこなすには、どのような銘柄が狙い目か。市場関係者が注目するのは、自民党の政策の恩恵を受ける公共事業関連と不動産だ。

 岡三証券の石黒英之日本株情報グループ長が注目するのは、「国土強靭化計画」で受注増が見込める道路株などだ。

「トンネルなどのコンクリート補修に強いショーボンドホールディングス、道路舗装大手のNIPPO、上下水道工事を手がける栗本鉄工所などがお薦めです」

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘シニア投資ストラテジストは、不動産株を推奨する。

「世界中でカネあまりとなっており、香港やスイスでは不動産バブルが起きている。日銀がさらに積極的な金融緩和に踏み切れば、ますますカネあまりとなる。外国人からすると、東京の商業地はまだ割安です」

 三菱地所や三井不動産などの大手不動産株のほか、土地を保有する会社も狙い目だという。「土地持ち会社」とは、JR東日本などの電鉄株や、三菱倉庫をはじめとする倉庫株だ。不動産価格が上昇すれば、資産も増えることになるからだ。

 いずれにせよ、超久しぶりに盛り上がっている日本株市場。期待と懸念は、表裏一体であることは忘れずに。

週刊朝日 2013年1月25日号