激しい動きにも耐えるビーチバレーの水着(写真提供・FIVB)
激しい動きにも耐えるビーチバレーの水着(写真提供・FIVB)
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 水泳や陸上においてウエアやギアの機能の進化とともに記録が更新、というニュースを耳にするようになった。ビーチバレーボールもその例にもれず、選手たちのユニフォームであるスイムウエアは確実に進化を遂げ、選手のパフォーマンス向上に関係している。

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 ビーチバレーの国際大会が開催されるようになった1980年代は、上下つながったワンピース型の水着を着てプレーする選手もいた。ビーチバレーが正式種目となったアトランタ五輪が開催された1996年以降は、上下が分かれたセパレートが主流へ。しかし、当時のパンツのデザインはヘソ下5cmとハイウエスト、Vラインのカッティングもハイレグ気味だった。

 1999年に規格化され、2000年代に入ると水着のデザインは大きく様変わりしていく。パンツのウエストはヘソ下15cm前後、サイド幅も7cm以下と規定(当時)が定められ、現状に近づきウエアの面積は小さくなっていった。

 当時の報道では、ビーチバレーの女子選手の水着が「なぜ、小さいのか?」とよく取り上げられていた。その理由は単純だ。ビーチバレーは、砂の上で走る、跳ぶ、とにかく激しく動く競技。生地には汗、雨などの水分や砂がまとまわりつく。めまぐるしく変わる自然環境から生まれる負荷を軽減するには、水着は『第2の皮膚』になる必要がある。「小さいほうが動きやすい」という声が圧倒的に多い。

 2006年からビーチバレーボール日本代表のサプライヤーを務める株式会社DESCENTEは選手の声に耳を傾け、研究を重ねてきた。スポーツマーケティング部の諸隈直樹氏は言う。

「最も要望が多いのは、動いたときのズレやヨレ、砂の付着や生地のべたつきへの対応ですね。弊社では、そういったストレスを軽減し、激しい動きに耐え、スムーズな可動で競技に集中できる水着の開発に携わってきました」

 女子日本代表の水着のトップスは、しっかり肌にフィットするように生地の裏地にすべり止めを装備。さらに首や肩への負担を軽減し、肩甲骨の可動を意識した背中の肩紐のデザインは、何度も改良を重ねてきたこだわりのひとつだ。パンツはお尻の筋肉、股関節周りの可動を意識し、選手それぞれの体形や好みに合わせて採寸しカッティングされている。

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